4月10日(月)、平成29年度第36回入学式を挙行いたしました。
国文学科92名、総合教養学科110名、幼児・児童教育学科60名の本科生合計262名と専攻科福祉専攻6名の総数268名が入学しました。
式典の中で、学長は次のように式辞を述べました。
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平成29年度入学式式辞(要約)
―才能と人格を磨き、志を高く―
このたび本学に入学されました学生諸君、ご家族の皆様、誠におめでとうございます。國學院大學の学統を受け継ぎ、日本の心を大切にする國學院大學北海道短期大学部の門をくぐっていただき、教職員一同、心から歓迎いたします。
國學院大學と北海道短期大学部のめざすもの
國學院大學は、日本で最初に創立した私立大学八校の中の一校です。
明治維新の際、我が国は、世界の先進国に追いつこうと欧米の思想・文化・社会制度の導入を急ぎました。鹿鳴館時代に代表されるように、それらを無批判に受け入れようとする時代背景にあって、日本の古来からの良き思想・文物を顧みないという風潮が出てきました。こうした中で、我が国の発展を期するためには、単に欧米の模倣ではなく、我が国固有の歴史、民族性に基づくものでなければならないという機運が興り、國學院大學の前身である「皇典講究所」が創立されました。明治十五年のことです。
開校式に臨み、初代総裁、有栖川宮幟仁(たかひと)親王は、皇典講究所設置の目的を述べられました。その要点は、
「総じて、学問の道は、根本をたてることが最も重要である。従って、第一に日本の国柄を明らかにすることによって我国の基礎を固めること、第二に道徳的素質を養うことによって人生の本分を尽くすことは、いつの世でも変わらない法則である」
「国柄を明らかにすること」と「道徳的素質を養うこと」、日本人としての「智」と「徳」、この二つが、國學院大學を設置した基本であり、「建学の精神」と呼ばれるものです。
「日本とは何か」「日本の文化とは何か」つまり国柄を学び、「いかに振る舞うべきか」つまり道徳を修得することは、諸君が世界に羽ばたき、長い人生を価値あるものとして生き抜く基本だと考えます。
学を修める意義と働き
先ず、「智」を修めるための「学ぶ」ということについてです。
福沢諭吉は、『学問のすゝめ』をあまりにも有名な一節から書き始めています。
「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らずといえり」
「いえり」、つまり、「いわれている」と書き始めているのです。彼は、必ずしもこのことを肯定しているわけではないのです。諭吉は書き進めます。
「万人みな同じ位であり、生まれながら上下の別なく自由自在との趣旨であるけれども、広く人間世界を見渡すと、賢い人も愚かな人もおり、富める人も貧しき人もいるのはなぜか。その理由は明らかであり、その人に学問の力あると無きとによって生ずるのである」
明治の初めに日本の人口は三千五百万人ほどでしたが、廃藩置県により、約二百万人の武士が一斉に失業しました。誰もが貧しかった明治初年の社会と、現代社会とは大きく異なるでしょう。しかし、学を修める意義とその働きは、全く変わるものではありません。
学ぶ姿勢
諸君は、高等教育機関である本学に学ぶことを決意しました。知識を得、実学を修めることは、諸君の一生の財産となるでしょう。そのためには、辛抱して励むことが大切です。
国学の大成者である本居宣長は、その入門書『うひ山ぶみ』に書いています。
「勉強というものは才能の有無でも、暇のあるなしでもない。いかに学問と向き合って努力するか、その姿勢によるのだ」
先人たちは、何百年も前から、私たちに「やる気が大切なのだ」と教えてきたのです。
日本人の精神性の原点
建学の精神に示される二番目、「徳」ということについてです。
古事記・日本書記によると、アマテラスは、孫であるニニギノミコトに「三種の神器と稲穂」を渡して地上を統治するように告げます。「天孫降臨」と「天壌無窮の神勅」の神話です。この時に授けられた三種の神器が、「鏡・玉・剣」です。いくつかの説がありますが、八咫鏡は「公明正大な誠」を、八尺瓊勾玉は「慈悲」を、草薙の剣は「正義、勇気、知恵」をあらわすと解釈されています。
太古の時代から日本人は、日本人の尊い精神を明らかにしてきました。道徳の基本となるものでしょう。
常に真剣勝負、怠りなく準備を
二年間の学生生活についてお話いたします。
高等教育機関は自己決定・自己責任が基本です。常に真剣勝負です。諸君が掲げた目標を達するためには、怠けることは脱落することを意味しています。
國學院大學三年次に編入を目指す諸君は、常に目標を確認して励んでください。國學院大學は難関大学の一つです。簡単に編入できるわけではありません。先輩たちは寝食を忘れるほどに勉強して、毎年高い編入率を達成してきたのです。
就職をめざす諸君には、残された時間が二年間あるわけではありません。二年生になると、もう就活が始まります。本来の自分を見失わないことが大切です。
自らの人生を設計しシナリオを描く基礎をシッカリと身につけ、志を高く掲げて、怠りなく社会で活躍する準備をして欲しいのです。
学校を使いこなす
そのために、「学校を使いこなす」ことを心がけてください。
教職員誰もが親身になって相談に応じます。教職員と諸君との距離が近いことが、本学の大きな特色ですし、全国から集まってきている学生たちは、諸君の良き友人となるでしょう。積極的に行動することが大切です。
人間には、誰にも簡単にできることに喜びを感じない、苦しいことや難しいことに面白さや尊さ、喜びを感ずる素晴らしい能力があるのです。
自らの能力を信じて、好きなこと、夢中になれることを見つけて、そのことを天職として生きていけるとすると、そんなに素晴らしい人生はありません。
ご家族おそろいでキャンパスライフを楽しむ
ご家族の皆様に申し上げます。勉学のキャンパスは、この学校のエリアを越えて大きく広がっています。これからもご家族そろって足を運んでいただいて、滝川市・中空知に広がるキャンパスライフを共に学び、楽しんでいただければ幸いです。
以上申し上げて、式辞といたします。
平成29年4月10日
國學院大學北海道短期大学部
学 長 田 村 弘

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新入生代表誓詞は、森 宵空さん(総合教養学科)が述べました。
式典終了後には、本学国文学科教授の月岡 道晴による記念講演会「北海道と滝川を詩歌の都に!―きょうから作れるうたの詠み方―」が行われました。